『Histoire of Eternto−イストワール オブ エテルノ−』

第8話 四ヶ国、円卓会議

≪登場人物≫

ラキア♀(28歳):法国ルミナシアの大司教。
シエル♂(24歳):法国ルミナシア、聖都シュティレーゼ、聖騎士団騎士団長。
ゲーエン♂(58歳):法国ルミナシア、宰相。
スレイヴ♂(41歳):共和国ランガルト、首都フラーテルギルド蒼穹の燕、団長。
ベルヴァルク♂(28歳):帝都センテリオ、オルディネガルデリア軍 将軍。
レヴァンダ♀(25歳):帝都センテリオ、オルディネガルデリア軍 副将。
ルチオ♂(30歳):王国シルヴェスタ、魔学研究機関ヴァールハイトハルク 最高責任者
ユアン不問(22歳):共和国ランガルト、首都フラーテルギルド蒼穹の燕、団員。
ハザル♂(28歳):各国を渡り歩いている傭兵。
セグレート♀(19歳):王国シルヴェスタ、王都エンジール、司祭。


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キャラクター詳細や世界観は此方で確認お願いします。


【役表】

シエル:
ルチオ:
ラキア
ユアン:
ゲーエン:
ベルヴァルク:
レヴァンダ:
セグレート:
スレイヴ:
ハザル:



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≪円卓会議≫



ゲーエン:「各国の皆様。
      この度は緊急招集につきまして、ご足労感謝いたします。
      私は、法国ルミナシアの宰相を勤めております、
      ゲーエン=エルヴィスと申します。
      円卓会議の進行につきましては、私が行なわせて頂きます。
      (一息着いて全員の顔を確認する)
      アルシャディアの創造主で在られる、
      女神ヴァレスティア様の御名のもと、
      約束されし真実と調和を、守護獣の名に掲げ、
      共に誓いを交わして頂きたい。」

ゲーエン:「法国ルミナシアより、聖セレスティア教会
      大司教(アークビショップ)ラキア=コンラート殿。」

ラキア:「はい。“大鷲の紋章”守護獣コモラに誓います。」

ゲーエン:「王国シルヴェスタより、魔学研究機関ヴァールハイトハルク
      最高責任者、ルチオ=カサモラータ殿。」

ルチオ:「はい。“白馬の紋章”守護獣チェレネに誓って。」

ゲーエン:「帝国オルディン国より、帝国軍ルディネガルデリア副将、
      レヴァンダ=オルグリオ殿。」

レヴァンダ:「はい。“獅子の紋章”守護獣ニエンテに誓います。」

ゲーエン:「共和国ランガルトから、ギルド代表蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)
      団長、総指揮官スレイヴ=グローリア殿。」

スレイヴ:「“精霊の紋章”守護獣ピルカに誓う。」

ゲーエン:「ご協力ありがとうございます。
      ご同行頂いた方々については、
      別室にある傍聴室で待機して頂いております故、ご安心して下さい。」





ラキア:「『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
     第8話 四ヶ国、円卓会議」





ゲーエン:「それでは早速本題に入らせて頂きます。
      書状にも記載した内容の復唱となりますが、
      先日、ルミナシアは何者かに襲撃され、多大な被害を被りました。
      結界の崩壊により、多数の魔物の侵入がありましたが、
      聖騎士団と有志の協力により、事態は一旦収拾致しました。
      街全体の被害は総額にすれば一千ディア程です。
      死亡者こそ出ておりませんが・・・
      軽傷者が多数、との報告を受けております。
      結界の補修は数日前に終わっている状態ですが
      完全修復には、後2〜3週間程かかると見越して御座います。」

レヴァンダ:「状況は把握しました。」

ゲーエン:「さて、ランガルト側からも同様の被害があったと伺っておりますが、
      ご報告願えますかな?」

スレイヴ:「了解。こちらも、数日前に何者かの襲撃を受けた。
      一度目は西(デュシス)方面を広範囲によって破壊され、
      時間差で二度目は東(シャルク)方面に。
      こっちの規模はそれ程大きくなかったが、
      聖都と同様、多数の魔物の侵入があり、
      四大ギルドの早急な働きに寄って事態は収拾できた。
      被害総額としたら三千ディアって所だな。
      被害の割に軽傷者は数人程度で、勿論 死亡者は0。
      結界の補修は急ピッチで行なっている最中だが、
      二箇所含め、完全修復には一ヶ月以上は掛かる見込みだ。」

ルチオ:「どちらも同時期に同じような手法で
     襲撃をされているわけですか・・・。」

レヴァンダ:「失礼。
       その襲撃犯とやらの目処はたっておられるんですか?」

ゲーエン:「えぇ。確信とまでは至っておりませんが、
      襲撃時に現れた異質な人物の特定は出来ております。」

レヴァンダ:「異質・・・?」

ラキア:「つまり、その場にそぐわない人物が存在していた、
     という事になります。」

スレイヴ:「・・・っ、なるほど。
      ってことは、それすらもこっちと似通ってる訳か。」

ゲーエン:「ほぅ、そちらもですか。」

スレイヴ:「えぇ。うちのギルドに、
      その異質な存在と接触した人間がいましてね。」

ルチオ:「・・・察するに、
     ルミナシア側も接触していると捉えて、間違いではないですか?」

ゲーエン:「お察しの通りです。」

ルチオ:「どうにも犯人側の意図には、
     敢えて、発見させる狙いがあると思えて成りませんね。」

ラキア:「或いは、純粋な破壊活動の線も、可能性が無いとは言い切れません。」

ルチオ:「確かにそうですが。
     結界の破壊が目的と言う割には、余りにも仕事が雑すぎませんか? 
     工作活動としては、穴だらけです。」

レヴァンダ:「推測だけで話を進めても目的が明確になるわけでは無いでしょう。
       他に、確信に変わる証拠でもあれば話は変わりますが・・・。」

スレイヴ:「その事だが、犯人に関して少し気になる事があってな。」

ルチオ:「なんでしょうか?」

スレイヴ:「フラーテルを襲撃した犯人は、そこに居るはずのない異質な人物。
      そいつは“白馬の紋章”を纏っていたという情報だ。」

ルチオ:「おや、面白い事になってますね。」

スレイヴ:「改めて思ったのは・・・
      そんな穴だらけの犯行を果たして、シルヴェスタ側が行なうか、だが。」

ルチオ:「混乱を招く、という発想で言えば。 可能性として在り得ますね。」

スレイヴ:「実際の所は?」

ルチオ:「全く存じ上げない事実です。
     そもそも、我々シルヴェスタは、
     ルミナシアとランガルト共に、交易関係にありますから、
     自らの国を追い込む様な真似をする筈がありません。
     何故わざわざデメリットになるような事をしなければ
     ならないのでしょうか?」

スレイヴ:「仰るとおりで。」

ラキア:「その件なのですが。」

ルチオ:「ルミナシアも同じ事を仰るおつもりですか?」

ラキア:「いえ、我々の場合“獅子の紋章”を纏った者です。」

レヴァンダ:「・・・。」

ゲーエン:「オルグリオ殿、何かございませんか?」

レヴァンダ:「覚えの無い話です。ですから
       それ以上に申し上げる事はございません。」

スレイヴ:「それだけじゃ説得要素が足りないと思うが。」

ルチオ:「オルディンは何処とも友好関係にある訳では在りません。
     言うならば独裁国家そのものですから、
     しっかり釈明をしなければ、疑いは深まるばかりですよ?」

レヴァンダ:「妄想を膨らますのはそちらの自由です。
       我々はどう解釈されようと一向に構いません。」

ルチオ:「おや、振られちゃいましたね。」

レヴァンダ:「安い挑発に乗るつもりは御座いませんので。」

ルチオ:「残念です。」

レヴァンダ:「・・・。」

ルチオ:「先程も申し上げましたが、
     我々は全く覚えが在りませんので、他の可能性として
     第三勢力の存在を上げさせて頂きます。」

スレイヴ:「第三勢力か。単純に考えれば
      やり口が荒く、ゲリラ的とも言えるのか。」

ルチオ:「そういうことです。濡れ衣を着せるにせよ、
     我々シルヴェスタに対して
     浅はかであるとしか言いようが在りませんね。」

レヴァンダ:「その点に関してはシルヴェスタに同感です。
       我々オルディンにしてみれば既に、
       浅はか、など言う言葉で済ませられる内容ではありません。」

スレイヴ:「なんだ、オルディンは真犯人でも捕まえて
      何かするつもりか?」

レヴァンダ:「お答えする義理はありません。」

スレイヴ:「随分、勿体ぶった言い方をするな。」

レヴァンダ:「そんなに、お聞きになりたいのですか?」

スレイヴ:「いや、やめておこう。楽しい話でも無さそうだしな。」

レヴァンダ:「・・・。」

ゲーエン:「そうですね・・・。
      両国とも、確実に疑いが晴れたわけでは在りませんが、
      この件に関しては後日、待遇を考案する事にしましょう。」

ラキア:「分かりました。」

ゲーエン:「此処からは、今しがた浮き彫りになった
      第三勢力についての議論を始めましょう。」

スレイヴ:「可能性としては、無きにしも非ずか。」     

ラキア:「そもそも、犯行を行なった目的はなんでしょう?」

ルチオ:「今予測される犯行動機としては、二つ在ります。
     一つ目は。結界を壊し、各国の要人を
     犯人に仕立てあげることに寄って、戦争を引き起こさせる。
     二つ目は。結界を壊し、魔物を侵入させ首都の壊滅を目論む。
     ですが、両国の被害の様子から伺うと
     こちらの線は薄くなりますね。」

レヴァンダ:「一つ目にしても、第三勢力の線が出てきた現在、
       戦争を引き起こさせる事に関して、
       そこまで効力があるとは思えないのですが。」

ラキア:「もし、今回の襲撃が試験的なものだとしたら?」

レヴァンダ:「どういうことです?」

ラキア:「結界の破壊は二次的なものであり、
     本命は、大量の魔物を侵入させ首都を壊滅させる事。
     今回の襲撃は、実験の様なものかも知れないという事です。」

ルチオ:「それでは・・・。犯人に仕立てあげる、
     という行為に対して、どうお考えですか?」

ラキア:「今現在、釈明はあったものの、
     確実に嫌疑が晴れているわけでは在りません。
     その内なる闇、それが目的ではないでしょうか?」

ルチオ:「ほぅ、ますます面白い事になってますね。」

レヴァンダ:「低レベルな思考に、笑いすら覚えます。」

ゲーエン:「ふむ・・・そこで、それらを踏まえたうえで。
      二つ目の議題に入らせて頂きたい。」

レヴァンダ:「・・・その様な話、
       書状には記載されていませんでしたが。」

ラキア:「ご安心下さい。全てが通ずる話なので
     書状に書かれていた内容とは異なりません。」

レヴァンダ:「・・・分かりました。」
      
ゲーエン:「では、改めて。コンラート殿。」

ラキア:「はい、説明いたします。聖騎士団上部及び
     セレスティア教会の上部を含む先遣隊を派遣し、実地調査を行ないました。
     この調査を実施するに至ったのは、
     それ以前に、結界内からの救援要請があったからです。」

スレイヴ:「救援要請って事は、魔物が関係してることか?」

ラキア:「はい。要請があった場所に向かった聖騎士団からは、
     結界は既に破壊されており凶暴化した大量の魔物によって
     半壊状態に追い込まれていたという報告が上がっております。」

レヴァンダ:「どういうことですか? 
       魔物は本来、結界に守られた人里に近づく事は無い筈。
       それが、破壊され凶暴化した魔物に半壊させるまでに至った。
       そのような話、2000年の歴史の中で聞いたことがありません。」

ラキア:「えぇ。
     ですから我々は、魔物に関する異変の調査を行ないました。
     近年稀に見る魔物の増加は個々で察知する程度では在りましたが、
     此処最近で、急激に増加し、凶暴化する傾向にある事が判明致しました。」

ゲーエン:「仮定の話にはなりますが、
      第三勢力がこの異変を認知していたとしましょう。
      その上で、結界を破壊し凶暴化した魔物を大量に侵入させ、
      首都の壊滅を目論む。・・・これで辻褄はあいます。」

レヴァンダ:「漸くはっきりした形が見えてきましたね。」

スレイヴ:「確かにそうかも知れないが、あくまで仮定の話。
      信憑性は欠けると思われます。」

レヴァンダ:「申し上げますが、此処までの話し合いで
       核心に迫った仮説が在りましたか?」

スレイヴ:「それを言われちゃ、返す言葉も無い。」

レヴァンダ:「・・・事実を述べたまでです。」

スレイヴ:「所で、ゲーエン殿。」

ゲーエン:「何でしょうか。」

スレイヴ:「結界を壊す方法については触れていないようですが。」

ゲーエン:「残念ながらお話出来るまでには至っておりません。」

スレイヴ:「・・・そうですか。」 
      
ラキア:「その様子ではフラーテル側も。」

スレイヴ:「(頷く)」

ゲーエン:「襲撃犯から答えを導き出す事が、一番の解決策ですが
      現段階では双方とも逃げられてしまっています。
      ですから、違う方法を探す他無いかと。」

スレイヴ:「他の方法・・・ねぇ。」

ルチオ:「失礼。
     今此処で分からない事に対して
     足踏みをしていても仕方ないと思いますよ。
     結界の破壊方法については
     我々の方でも追って調査致しますので。」

ラキア:「分かりました、それでは話しを戻しましょう。」

スレイヴ:「ん、それで・・・、
      魔物の増加と凶暴化はルミナシア地域だけか?」

ルチオ:「その件に関しては、
     こちら側でもその現象が見られています。」

ラキア:「シルヴェスタもですか?」

ルチオ:「はい。シルヴェスタ国内でも
     同じような異変が数年前からありまして、
     私の研究機関で、独自に調査を行なってはいるのですが、
     今の所、真相に迫った結果は得られていません。」

レヴァンダ:「・・・・。」

ルチオ:「風の噂で、オルディンも
     独自で調査を行なっていると、聞きましたが。
     どうですか?」

レヴァンダ:「噂は噂。我々が語れる事は何一つ。」

ルチオ:「意味深ですね。取り敢えずは、
          そう言う事にしておきましょう。」

レヴァンダ:「・・・。」

ラキア:「ルミナシアは、確信に近いものを得られています。」

ルチオ:「それが先程仰っていた、
          全てに通ずる部分になるんですね。」

ラキア:「はい。」

ルチオ:「お伺いしても宜しいですか?」

ラキア:「えぇ、襲撃事件があった日の午前。
     女神ヴァレスティア様から神託が在りました。
     そう遠くない未来に、大きな災厄が訪れると。」

ゲーエン:「我々は、こう考えております。魔物の異変。
      そして、それを利用しようとしている第三勢力。
      その全ての異常が、いずれ来たる災厄の前兆では無いかと。」

ルチオ:「なるほど・・・。」

ラキア:「当然、現段階で最優先に行なうべきは第三勢力の特定でもあります。
     ですが、今回の襲撃時や結界外の被害を含め、
     早急に魔物への対策を練らなければなりません。」

スレイヴ:「そちらを先決すれば、必然的に第三勢力の目論みも
      効果としては薄められるって事か。」

ゲーエン:「お察しの通りです。
      いくら各国の軍事勢力が整っていたとしても
      捨て置けば、魔物は無尽蔵に増え続けます。
      いずれ人の手に追えなくなるでしょう。
      ですから、手遅れになる前に各国の協力を募りたいのです。」

レヴァンダ:「御言葉ですが、具体的な対策はお持ちなのですか?」

ラキア:「勿論です。それは・・・
     女神の心、古代に眠りし希望の光を開放する事。
     それが、現在我々が考えている対策です。」

スレイヴ:「希望の光?」

ゲーエン:「女神ヴァレスティア様から与えられし、八つの神具です。」

スレイヴ:「天地戦争と女神の制約に出てくる伝説の武器ですか。」

ゲーエン:「はい。」

ラキア:「神具の力を結集、及び開放し、
     女神ヴァレスティア様を復活させることによって
     アルシャディアを再生させることが可能となる。
     それが、魔物の異変を根本から食い止める最善の方法です。」

ゲーエン:「書物によれば、解放された神具は
      神の如し業を発揮するそうで・・・
      今後、魔物との戦闘において、大いに活躍する筈です。」

ルチオ:「・・・。そこまでは理解できましたが。
     その神具が悪用される可能性は、考慮していますか?」

ラキア:「心配に及びません。
     神具を持つ事を許されているのは、
     女神の加護を受けし者達の中から、
     紡ぎし唄によって選ばれた者たちのみです。」

スレイヴ:「紡ぎし唄って言うのは?」

ラキア:「女神の誓約によって、神具を護っている者たちの事です。」

レヴァンダ:「理屈では理解できたとしても、
       実際に動くと成れば、随分と荒行になりますが。」

ゲーエン:「ふむ。手当たり次第では無く、
      資格がある者を的確に探すにはどうするか、ですね。」

レヴァンダ:「はい。」

ゲーエン:「そのことについてですが。
      つい先日、決め手となるお話が在りまして。」

レヴァンダ:「・・・決め手、とは。」

ラキア:「選ばれし者が紡ぎし唄と共に神具を持って現れたのです。」

スレイヴ:「・・・。」

ラキア:「ですから、紡ぎし唄の近くに神具がある事は断定してもいいでしょう。
     そして、選ばれし者達は神具と何かしらの縁(えん)で
     繋がっているのではないかと。」

スレイヴ:「なるほど、“紡ぎし唄”が鍵になってるって事か。
      だが、どうやってそいつらを探すんです。」

ゲーエン:「現在呼ばれている神具の呼称は、
      英雄と同じ名だという事はご存知ですか。」

スレイヴ:「えぇ。」

レヴァンダ:「つまり・・・。
       神具に縁(ゆかり)の在る者や場所を探れば
       紡ぎし唄に辿り着く事が出来る。そう捉えていいですね?」

ゲーエン:「はい。」

ラキア:「神具の持ち主は彼らが選ぶのですから、
     それが最善策かと思われます。」

ルチオ:「三つが揃って意味を成すもの、ですか。」

レヴァンダ:「しかし、そう簡単に遂行出来るものとも思えませんが。」

スレイヴ:「どうだろうな。 やってみない事には何も言えんだろ。」

レヴァンダ:「・・・分かりました。」(答えに不服そうして)

ラキア:「我々の目的は、各国に散らばる紡ぎし唄と、
     神具の捜索の協力を仰ぐことです。
     それらが、アルシャディア再生の為の最善策と推定し
     此処に提言致します。」

ゲーエン:「ルミナシアからは以上です。
      各国のご意見を伺いたい。」

ルチオ:「そうですね、襲撃事件に関して言えば意見は変わりません。
     我々とは無関係な人間、つまり、第三勢力による工作だと思います。
     我が国の象徴“白馬の紋章”を悪用されたとなれば、
     静観するわけにも行きません。
     疑念を晴らし、今後の友好関係を保つ為にも
     協力は惜しまないつもりですよ。」

ゲーエン:「それでは・・・。」

ルチオ:「えぇ。シルヴェスタは、ルミナシアの協力要請に応じます。
     勿論、調査込みですから人もお貸しします。」

ラキア:「助かります。」

スレイヴ:「今回は被害者なんだが、
      ランガルトとしても、
      今後同じような事が起こるのは正直考えものだ。
      丁度、ギルドに協力要請も出てた筈だしな。
      この事態を打破する可能性が少しでもあるなら、協力はしようと思う。
      が、生憎決定権は持ってないからな。
      一度本国に戻って改めて書状を送ろう。
      なんなら、ルミナシアとランガルトの保険として一人、
      こっちに留まらせておくが・・・。」

ゲーエン:「ありがとうございます、その方が迅速な対応が望めますね。」

レヴァンダ:「私にも決定権は御座いませんので、ランガルト同様
       オルディンも後日返答させて頂きます。」

ゲーエン:「分かりました。良い返事を期待していますよ。」

レヴァンダ:「・・・・。」





≪傍聴室≫





ユアン:「神具を解放し、女神を復活させる事による
     アルシャディア再生・・・。」

ハザル:「・・・。」

ユアン:「具体的に、再生ってどういう事を指してるんでしょうか。」

ハザル:「誰も知るすべは無い。」

ユアン:「そう、ですよね。」

ベルヴァルク:「異質だな。」

ユアン:「っ?」

ハザル:「・・・・。」

ベルヴァルク:「・・・お前は何者だ。」

ハザル:「・・・。」

ユアン:「その・・・。」

セグレート:「(食い気味)ぎ、議会が、そ、そろそろ終わりそうですよ?」

ユアン:「そ、そうですね。」

セグレート:「あ、あの。えっと、申し遅れました。
       わ、わわ私はシルヴェスタからやって、きました。
       司祭(ビショップ)の、セグレート=ソヴァールで、です!」

ユアン:「あ、えっと。ランガルトから来ました、
     ギルド、蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)の
     ユアン=イグニスです。
     フード被ってる人はハザル=ジュリアスさんです。」

ハザル:「・・・・。」

ベルヴァルク:「・・・ハザル?」

セグレート:「よ、よよよ宜しくお願いします。」(勢いよくお辞儀をする)

ユアン:「よ、宜しくお願いします。あの、もし体調が悪いようなら・・・」

セグレート:「(食い気味)あっ! えっと、
       ひ、人見知りなだけ、なんですっ。」

ユアン:「そうなんですか・・・。」(苦笑)

セグレート:「も、もう一人の方は・・・、
       ど、どなたなんですかね?」(コッソリ)

ベルヴァルク:「・・・・・。」


(傍聴室に入ってくる)

【ノック音】

レヴァンダ:「失礼、ガードナー将軍。
       会議が終わりましたのでお迎えに上がりました。」

ベルヴァルク:「・・・・スグに帰還する。」(去る)

レヴァンダ:「畏まりました。」(去る)



ユアン:「行っちゃいましたね。」

セグレート:「か、会議が、終わったと言うことは、
       ルチオさんも、そろそろ・・・。」


(傍聴室に入ってくる)

【ノック音】

シエル:「失礼します。長らくお待たせ致しました。
     只今、手続きを行なっている為もう暫くお待ち下さい。」

ユアン:「あの。」

シエル:「何か?」

ユアン:「今出て行った方は・・・。」

シエル:「あぁ。オルディンからいらした、
     ルディネガルデリア軍の将軍、ベルヴァルク=ガードナー殿です。」

セグレート:「な、なななんで議会に出ないで此処に、い、いたんですか?」

シエル:「自ら望んで傍聴に回られたと聞きましたが。」

ユアン:「将軍といえば、
     国内でも最高位に近い権力を持つ人・・・ですよね?
     どうして、直接会議で発言なさろうとしないんでしょう?」

シエル:「噂に聞けば、多くを語ろうとしない性格の御方、らしいですよ。」

ユアン:「そ、そういう理由で・・・?」

ハザル:「若くして多くの武勲を立てた武人でもある。」

シエル「言葉より、剣の腕で政治するほうが
    向いてらっしゃる御方なんでしょう。
    ま、私もあまり人のことは・・・ん?」

ユアン「なるほど・・・ガードナー将軍、不思議な方ですね。」

シエル「えぇ、ところで・・・」

セグレート:「(食い気味)あぁっ!!」

ユアン:「ど、どうしたんですか?」

セグレート:「反応があったんです!」


(地響き) 

ユアン:「っ! 今揺れませんでしたか?」

シエル:「揺れましたね・・・。」

セグレート:「こ、これは大きいですよぉ!」

シエル:「お、落ち着いて下さい! 状況が全く読めないのですが。」

セグレート:「と、兎に角急ぎましょう!」(テラスに出る)

ハザル:「・・・っ!」

セグレート(声):「あわわっ、これは凄いです!!
         み、みなさんこ、こちらです!!」

ユアン:「えっと・・・?」

ハザル:「テラスだ。」

シエル:「様子を見に行って見ましょう。」

ユアン:「はい。」



≪テラスに出ると結界のスグ近くで
 大型の魔物が結界を壊そうと暴れている≫



シエル:「なっ!?」

ユアン:「っ!? 大型の魔物が結界を壊そうとしてるっ!
     一体どういうことですか?」

セグレート:「つまり、こ、こういう事なんです!」

ユアン:「え? あの・・・。」

ハザル:「先に行く。」(去る)

ユアン:「は、ハザルさん!? あ、行っちゃった。」

シエル:「申し訳ないですが、私も席を外させて頂きます。」

ユアン:「お気をつけてっ。」

シエル:「有難う御座います。それでは、失礼します。」(去る)

セグレート:「ゆ、ユアンさん! わ、私たちも
       い、急いで行きましょう!」

ユアン:「わ、分かりました。」



シエル(M):「全てが解決したとは言い難いが、
       法国ルミナシアが催した円卓会議の目的は、
       果たされる事となった。
       しかし、それと同時に更なる事態が聖都を襲っていた。」





ユアン:「次回『『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
     第9話 闇の鼓動」










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