『Histoire of Eternto−イストワール オブ エテルノ−』

第13話 繋がる意思


≪登場人物≫


エーレ♂(26歳):自由と冒険をこよなく愛する弓使い。
ツェッカ♀:小さな妖精。
ユーリス♀(16歳):旅の僧侶。ツンデレ。
ヌーヴェン♂(29歳):ギルド氷山の熊(イスベルグ アルクトス)の団長。
ミュゲ♀(31歳):ギルド大洋の鯱(オセアーノ エポラール)の団長。
シーラ♂(30前後):明るい気前のいい旅商人のお兄さん。
カルテリア♀(10代後半):ギルド蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)の団員の一人。
トゥライト♂(20代半ば):ギルド蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)の団員の一人。
女剣士♀(20代後半):基本無表情だが黒髪の色白美人。さらっとした性格。人の気を逆撫でるの得意。
冒険者♂(おっさん):体つきのいい血の気の多い冒険者。

※●ヌーヴェンと男は同一人物です。


【HPはこちら】
キャラクター詳細や世界観は此方で確認お願いします。


【役表】

エーレ:
ツェッカ:
ミュゲ:
ユーリス:
シーラ:
カルテリア:
トゥライト:
ヌーヴェン/男:
女剣士:
冒険者:



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≪首都フラーテル外地≫

(一匹の鳶が空高く風に乗り飛行している、
 それを岩山から眺めている男)

ヌーヴェン:「・・・風が変わった。」

ミュゲ:「あら・・・、こんな所にいらっしゃったんですね。」

ヌーヴェン:「・・・ミュゲ、さん。」

ミュゲ:「探しましたわよ。」

ヌーヴェン:「・・・俺に何か。」

ミュゲ:「ついさっき、空中都市ソミュアから速達が。」

ヌーヴェン:「ソミュアから?」

ミュゲ:「これを。」

ヌーヴェン:「・・・っ。」(受け取るのに躊躇する)

ミュゲ:「そんなに警戒しなくても平気ですわよ。ふふふ。」

ヌーヴェン:「貴方も、ですか。」

ミュゲ:「何の事です?」(微笑)

ヌーヴェン:「いえ・・・。」

ミュゲ:「さっ、受け取って下さるかしら。」

ヌーヴェン:「・・・分かりました。」

(差し出した小さな手紙を受け取ると早速中身を見る)

ミュゲ:「如何でした?」

ヌーヴェン:「・・・“流浪なる一心の矢は唄と共に、
       深緑なる大地を憂いし巫女を求め 彼の地に”。」

ミュゲ:「そうですかぁ。」

ヌーヴェン:「何を知っているんですか。」

ミュゲ:「私は何も。 ただ、思うが侭に動いてるだけですわ。」

ヌーヴェン:「食えない人だ。」

ミュゲ:「ふふっ。 用件も済みましたし、お暇させて頂きますわね。
     私、これでも忙しいので。 それでは・・・。」




ユーリス:「『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』
       第13話 繋がる意思」




≪首都フラーテル入口≫



シーラ:「よし、着いたぞ。此処がフラーテルだ。」

ツェッカ:『わぁっ! やっと着いたのね!』

エーレ:「へぇ〜(感心してる)
     少し前に襲撃事件があったって聞いてたけど
     修復も大分進んでるみたいだ。」

ツェッカ:『それに街全体に活気があるわね。』

エーレ:「あぁ。 マルシェの品揃えを見た感じ
     土地柄に合わせた衣食住の統一は一切無い分
     比較的色んなものが手に入りやすそうだし、
     冒険者の多さからして、情報収集には有効だな。」

シーラ:「まさに、商人にとっての聖地だな。
     俺も仕入れに良く来るんだ。」

ツェッカ:『うわぁ! この綺麗なキラキラしたもの何?』

シーラ:「あぁ、それは・・・。」

カルテリア:「(被せる)それは、“アム”って言ってね・・・」

ツェッカ:『へっ!?』

ユーリス:「だ、だれ・・・?」

カルテリア:「海上都市ウィリオスって所で作られてる装飾品なんだよ。」

エーレ:「へぇ・・・。」

カルテリア:「ここでも割りと珍しい品物なんだけど、
       近くにある貿易都市バグダードから
       たまにこっちに流れて来る事があるの。」

ツェッカ:『すご〜い! そんなに貴重な装飾品なのね。』

カルテリア:「指輪サイズのアムが有ればいいんだけど〜
       う〜ん・・・、今は無いみたい。
       絶対可愛いと思うんだけどなぁ!」

ユーリス:「確かにネックレスにしたら丁度良いサイズ感かも。」

シーラ:「ずいぶん詳しいな。 お嬢さんは商人かい?」

カルテリア:「ううん、私はギルドの団員!
       あ、そういえばお兄さん達見ない顔だけど。 旅人?」

エーレ:「まぁ、そんな所。」

カルテリア:「そっか! ようこそフラーテルへ。 ゆっくりしてってね。」

ツェッカ:『あ、ありがとう。』

カルテリア:「気にしないで!」

トゥライト(声):「おい、早くしろ!」

カルテリア:「おっと、呼ばれちゃった。 怒られる前に行かないと。」

エーレ:「助かったよ。」

カルテリア:「それじゃあ。」(去る)

エーレ:「あぁ。」

ツェッカ:『・・・っ! そう言えば普通に話しちゃったけど
      あの女の人私が見えるのね。』

エーレ:「・・・女神の加護がある者のみが見える存在、か。」

シーラ:「それにギルド団員って言ってたな。」

ツェッカ:『え?』

ユーリス:「何か手掛かりが掴めるチャンスかもしれないわよ。」

ツェッカ:『・・・どういう事?』

エーレ:「そうだな。ちょっと、声を掛けてみるか。」

シーラ:「んじゃ、一旦別行動だな。
     俺達は旅商人(こっち)の仕事を片付けてくる。
     何か入用になったら声掛けてくれ。」

ユーリス:「お互い用事が済んだら、またここに集合しましょ。」

エーレ:「分かった。」

ユーリス:「結構入組んでいる街だから迷子にならないようにね。」

ツェッカ:『エーレには私がついてるから大丈夫♪』

ユーリス:「任せたわ。」

ツェッカ:『うんっ!』

エーレ:「それじゃまた後で。」

シーラ:「あぁ。」

(少し前で男性と言い争いをしているカルテリアの方へ向かう。)

トゥライト:「ったく、買い物くらいちゃちゃっと済ませろっての。」

カルテリア:「いいじゃん、荷物持ちが居るときこそ欲張らなきゃ。」

トゥライト:「お前なぁ。」

カルテリア:「そうそう、さっき旅妖精さんを連れてた旅人がいてさ、
       可愛くて思わず声掛けちゃった!」

トゥライト:「はぁ? 妖精? 遂に頭の中まで花畑になったか?」

カルテリア:「むぅ〜。 脳味噌筋肉に言われたくないです〜!」

トゥライト:「お前ナァ・・。」

(駆け足で近付いてくる)

エーレ:「ちょっと、待ってくれ!」

カルテリア:「あっ!」

トゥライト:「誰だ?」

カルテリア:「今話してた人達。」

トゥライト:「へぇ。」

カルテリア:「ほら、妖精も居るじゃない。」

ツェッカ:『・・・っ』(緊張)

トゥライト:「はぁ?・・・何処に。」

カルテリア:「えぇ、居るじゃない!! お兄さんのすぐ横!」

ツェッカ:『このお兄さんには私が見えてないみたい。』

カルテリア:「へ!? そうなの?」

エーレ:「この妖精はツェッカ。
     少し特殊で見える人と見えない人が居るんだ。」

カルテリア:「だってさ。 残念だったわね〜トゥライト。
       意地悪には見えないらしいよ。」

トゥライト:「んな事一言も言ってねーだろ。」

エーレ:「ははっ。 俺はエーレ。
     話し掛けてくれたついでって分けじゃないんだが
     ギルドの団員と見込んで教えて欲しい事があるんだけど、良いかな。」

カルテリア:「教えて欲しいこと? 
       おーけー。私に分かる事なら何でも聞いて!」

エーレ:「それは助かる。
     ギルド氷山の熊(イスベルグ アルクトス)の団長、
     ヌーヴェン・モンタスって人探してるんだけど知らないか?」

トゥライト:「ん?」

カルテリア:「ヌーヴェンさんに?」

エーレ:「へ?」

トゥライト:「ヌーヴェンさんとこのギルドに入団希望か?」

エーレ:「いや、そういう訳でもないんだけど。 用事があって。」

トゥライト:「用事ねぇ。」

カルテリア:「丁度よかった。
       帰り道に氷山の熊(イスベルグ アルクトス)のギルド前を通るし、
       案内するよ。」

ツェッカ:『ありがとう!』

カルテリア:「どういたしまして!
       私はカルテリア、こっちがトゥライト。 よろしくね。」

エーレ:「あぁ、よろしく。」

冒険者(声):「(遮る)あぁ? もう一度言ってみろ、この女(アマ)!」

イラーダ(声):「ったく。 お主の耳は節穴か。 
         そのデカイ図体で道の真ん中を堂々と歩かれては、
         皆の邪魔だと申しておる。」
 
カルテリア:「揉め事かな。」

トゥライト:「おい、余計な事に首突っ込むんじゃ・・・」

カルテリア:「(遮る)ちょっと行ってみよう!」

ツェッカ:『あ、行っちゃった。』

トゥライト:「ったく人の話を聞かねぇ奴だな。」

エーレ:「ははっ。」

トゥライト:「エーレだっけ? 行くぞ。」

エーレ:「了解。」

(マルシェ中央)

冒険者:「言わせておきゃぁ調子乗りやがって!」

イラーダ:「茹蛸のように真っ赤になって、みっともない。
      もう一度、と言うから答えてやったと言うのに。」

カルテリア:「あの白いフードの女の人、危なくない!?」

トゥライト:「まぁ、見てろって。」

エーレ:「日常茶飯事なのか?」

トゥライト:「地域を管理してるギルドの治安にもよるな。」

エーレ:「後は、冒険者のモラルの問題か・・・。」

トゥライト:「あぁ。」

冒険者:「その減らず口、黙らせてやる。」

イラーダ:「やってみるがよい。」

(冒険者は斧を振り下ろすが女剣士は顔色変えずに一閃する。)

冒険者:「ウォオッ!!」

イラーダ:「ふっ。」

冒険者&イラーダ:「っ!?」

(二人の剣戟を双剣で受け止める)

ヌーヴェン:「双方、今直ぐ得物を収めよ。」

冒険者:「ぬっ。」

イラーダ:「むっ。」

エーレ:「ひゅ〜。 見事な剣裁きだ。」

カルテリア:「ヌーヴェンさん!」

ツェッカ:『あの人が?』

カルテリア:「運が良いね! あの人が探してる人だよ。」

エーレ:「通りで強いわけだ。」(関心という眼差しで見る)

冒険者:「誰だてめぇ。 行き成り横槍いれやがって!」

ヌーヴェン:「北(シャマール)の管理を任されているものだ。
       此処は公の場だという事を理解の上行動して貰おう。」

イラーダ:「・・・。」

冒険者:「んだと? 最初にいちゃもんつけて来たのはその女だぞ!」

ヌーヴェン:「真実は?」

イラーダ:「真だ。 その男が言っている事は間違ごうてない。」

ヌーヴェン:「理解した。 しかし一旦この場は引いて頂こうか。
       他所でやり直すなら何も言うまい。」

冒険者:「けっ、テメェが邪魔したせいで気も失せたぜ。」

イラーダ:「それならばこちらとて好都合。」

冒険者:「二度とその面みせんじゃねぇ。」(去っていく)

ヌーヴェン:「貴女も気を付けられよ。こう言った場所には荒くれ者も多い。」

イラーダ:「心得た。 助太刀感謝いたす。」

ヌーヴェン:「・・・(頷き)それでは。」(去る)

イラーダ:「・・・えぇ。」

トゥライト:「治まったみてぇだな。」

イラーダ:「・・・。」(エーレの方をチラッと見て去る)

エーレ:「・・・?」

エーレM:「今、目があった気が・・・。」

カルテリア:「あ、ヌーヴェンさん行っちゃうよ! 追いかけよう!」

ツェッカ:『エーレ行こ!』

エーレ:「・・・あの女剣士。」

ツェッカ:『どうしたの?』

エーレ:「いや、あのフードの中は絶対美人だと思ってさ。
     俺の直感がそう言ってるんだ。」

ツェッカ:『もう、エーレ!? そんな事考えてたの!?』

エーレ:「こう、姿を隠すって所に魅力を感じないか?」

ツェッカ:『感じないわよ! もう、行っちゃうからね!』

エーレ:「あ、待てって。
    (女剣士が去った後を見返して)
     ・・・・。」
     


(ヌーヴェンの元へ二人が駆け寄る)

カルテリア:「ヌーヴェンさぁん!」

トゥライト:「ご苦労様っす。」

ヌーヴェン:「・・・ん? 君達は蒼穹の燕(エンペリアン シュヴァルベ)の。」

カルテリア:「お忙しい中すいません。
       今の騒動で丁度見かけたので。」

ヌーヴェン:「・・・俺に何か用事でも?」

カルテリア:「あの、突然なんですが
       ヌーヴェンさんを探してるって人達を連れて来ました!」

(少し遅れて顔を出す)

エーレ:「どうも。」

ツェッカ:『こ、こんにちは!』

ヌーヴェン:「流浪なる一心の矢は唄と共に・・・(二人を見ながら呟く)
       貴方達の事でしたか。」

ツェッカ:『・・・?』

トゥライト:「知り合いなのか?」

エーレ:「いや、俺達が来るのは事前に知らせて貰ってあるんだ。」

トゥライト:「そういう事か。」

カルテリア:「無事会えてよかったね!」

ツェッカ:『うん、ありがとう!』

トゥライト:「それじゃ俺達は用事があるんで、この辺で。」

エーレ:「あぁ、助かった。 この礼は・・・。」

トゥライト:「(遮る)必要ないぜ。」

エーレ:「え?」

トゥライト:「ただの案内に礼は必要ないって言ったんだ。」

カルテリア:「そうだよ。 どうしてもって言うなら、
       落ち着いた頃にうちのギルドにも遊びにおいでよ。」

エーレ:「分かった。 そうさせて貰おうかな。」

ツェッカ:『楽しみにしてるわ!』

カルテリア:「うん、じゃあね〜!」

トゥライト:「失礼します。」

ヌーヴェン:「ご苦労様でした。」

(二人が去るのを見送る)

エーレ:「改めて自己紹介を。俺はエーレ・テナークス。 
     ルチオの依頼で空中都市ソミュアから来た。」

ヌーヴェン:「こちらでも確認済みです。思ったより早い到着でしたね。」

エーレ:「あぁ、途中で商人の仲間が増えてさ、
     馬車のお蔭で移動に関しては何不自由なく。」

ヌーヴェン:「そういう事でしたか。
       
       一先ず場所を変えましょう、
       此処で話をするのも何かと不便ですから。
       ・・・ついて来て下さい。」

エーレ:「分かった。」

ツェッカ:『どこ行くんだろ・・・。』


(暫くすると街を出て森の中)


エーレ:「ここは?」

ヌーヴェン:「ギルドで訓練に使っている場所です。」

エーレ:「それで・・・
     ヌーヴェンさんが俺達を隠れ里まで案内してくれるのか?」

ヌーヴェン:「残念ながら。」

ツェッカ:『え? ヌーヴェンさんじゃないの?』

ヌーヴェン:「期待に答えられないのは申し訳ないですが
       他に優先すべき事があるので案内は他の方に依頼して在ります。」

ツェッカ:『そっか、残念。』

エーレ:「その案内役っていうのは、これから来るのか?」

ヌーヴェン:「えぇ、そろそろ着くはずです。」

エーレ:「・・・(少し考えて)
     その案内役が来る前に一つ聞きたいことがあるんだ。」

ヌーヴェン:「ん?」

エーレ:「ヌーヴェンさん。 貴方の正体だ。」

ヌーヴェン:「俺の正体ですか。」

ツェッカ:『どうしたの急に。』

エーレ:「王家と深い繋がりがある里の関係者だからとは言え、
     国家機密レベルの案件を他国に拠点を敷いてる
     一介のギルド団長に此処まで関わらせて良いものなのか。」

ヌーヴェン:「確かに貴方が疑問に思うのも理解できます。」

エーレ:「答えて貰えるのか?」

ヌーヴェン:「そうですね・・・。」

(何処からとも無く現れ)

イラーダ:「依頼主との関係性を詮索するのは野暮というものだろう。」

ヌーヴェン:「(小さく息を吐く)」

イラーダ:「待たせたな。」

ツェッカ:『あ! さっきの。』

イラーダ:「やはりな、もしやと思っていたのだが・・・。
      (エーレを見て)
      お主は私に気付いていたようだな。」

エーレ:「勿論、美女に熱い視線を送られて気付かない筈無・・・」

イラーダ:「(無視&遮る)して、この若者の問いに答えるのか否か。」

エーレ:「うぐっ」(肩透かしにあった状態)

ツェッカ:『変なことばっか言ってるから・・・。』

ヌーヴェン:「・・・大変申し訳ないのですが、
       現段階で俺の正体については答えられる事が出来ません。」

ツェッカ:『そっかぁ。』

イラーダ:「それも“国家機密”やらと同等と捉えても良いのか?」

エーレ:「っ」(小さく何かにハっとした感じで)

ヌーヴェン:「えぇ、間違いないかと。」

エーレ:「なるほどな、やっと色んな事が繋がってきたな。」(小声)

ツェッカ:『え? エーレ分かったの?』(小声)

エーレ:「確信とまでは行かないけどな。」(小声)

エーレ:「えっと。ヌーヴェンさんは
     今回の件に関して何か情報はもってるのか?」

ヌーヴェン:「いいえ。 
       ですがルチオ殿から“選ばれし者”に関する
       依頼は受けています。」

エーレ:「わかった。 ・・・それで、彼女は?」

イラーダ:「(被っていたフードを下ろす)
     私は、イラーダ・カイザラーン。
     里では巫女を任されておる。」

エーレ:「神子って女神の?」

イラーダ:「それとは異なる存在だ。」

ツェッカ:『巫女って、里の守人よね。』

イラーダ:「その通り。」

エーレ:「イラーダは“紡ぎし唄”についての情報は・・・。」

イラーダ:「さてな。 私はただ、宿命(しめい)を全うしているだけ。
      現地までは案内するが、その先はお主達だけで何とかするが良い。」

ツェッカ:『うん、エーレがんばろう!』

エーレ:「そうだな。」

イラーダ:「ところで、私が案内すればいいのはこの二人だけで良いのだな?」

ヌーヴェン:「いえ、他にも仲間がいるようです。」

エーレ:「あぁ。あと二人。一緒に頼む。」

イラーダ:「四人だな。 承った。」

ヌーヴェン:「もう暫くすると日も沈みます。 
       旅支度も兼ねて出発は明日にしてはどうでしょう?」

イラーダ:「無論、問題ない。」

エーレ:「了解。 えっと、こっちで何か準備するものは?」

イラーダ:「・・・そうだな、“純清なる御心”を。」

ツェッカ:『みこころ・・・?』

イラーダ:「心の迷いは、全てを狂わす。 
     目に見えてるものが全てではないという事を肝に銘じて置くと良いだろう。
     ・・・ではな。」

(イラーダが去っていくのを見て)

エーレ:「俺らもそろそろって言いたい所だが・・・。」

ツェッカ:『ヌーヴェンさんはこれからどうするの?』

ヌーヴェン:「お二人とは別の依頼があるのでそちらを。」

ツェッカ:『あ、そうだよね。ヌーヴェンさんギルド団長さんだから。』

ヌーヴェン:「(頷く)こちらでも何か情報を掴んだら知らせします。」

エーレ:「分かった。 俺達の方も何か進展があったら報告するようにする。」

ヌーヴェン:「では、これを。」(紙切れを渡す)

エーレ:「(受け取って)これは?」

ヌーヴェン:「“式神”というものです。
       それに言葉を記して放てば俺に直接届く使用になっています。」

ツェッカ:『しきがみ?』

ヌーヴェン:「“使い魔”と同等の存在だと思って頂ければ理解しやすいかと。」

エーレ:「成る程、便利なものもあるんだな。」

ヌーヴェン:「これは里の者のみが使用する特殊な方法ですが。」

エーレ:「へぇ・・・。」

ヌーヴェン:「さて、俺は用事がありますのでこの辺で失礼します。」

エーレ:「あぁ、色々助かった。」

ツェッカ:『ありがとう!』

ヌーヴェン:『(小さく頷きその場を去る)』

(見送る)

エーレ:「・・・(小さく息を吐く)俺たちも行くか。」

ツェッカ:『うん!』



<後日>


イラーダ:「ふむ、お主達が仲間か。 宜しく頼む。」

ユーリス:「は、はじめまして。」

シーラ:「こりゃまた美人さんで。 
     ・・・それにしても、初めて会った気がしないんだが、
     どこかで会ったか?」

エーレ:「シーラ、そういう手は通用しないぞ。」

シーラ:「へ?」

イラーダ:「お主もか、私も少し気になっていたのだが。」

シーラ:「やっぱりそうか!」

エーレ:「反応が違っ・・・。」

ツェッカ:『エーレには私がいるから安心してっ!』

エーレ:「ツェッカ・・・。」

ツェッカ:『えへへっ。』

エーレ:「ありがとな。」(トホホ)

ユーリス:「同情するわ。」




トゥライト:「次回『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』 第14話 旅立ちの物語」




ユーリス:「貴方って本当物好きよね・・・。」

シーラ:「ん?」

ユーリス:「本当謎・・・。」

シーラ:「急にどうしたんだ?」

ユーリス:「なんでもない。」

シーラ:「あ、わかったぞ。 ジェラすぅむぐっ」(ロッドで顔をムニっと押されて言葉を遮る)
 
ユーリス:「煩いわよ、クマっ!」




















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