『Histoire of Eternto−イストワール オブ エテルノ−』 第14話 旅立ちの物語 ≪登場人物≫ サイアス♂(17歳):自由気ままな冒険者。 ヤシュム不問:黒い猫のような見た目だが、猫より大きい。一部の人意外には見えない仕様。 アーシア♀(17歳):法国ルミナシア皇女。信託を受けし聖女。 シエル♂(24歳):聖都シュティレーゼ、聖騎士団騎士団長。 ユアン不問(22歳):共和国ランガルト、首都フラーテルギルド蒼穹の燕、団員。 セグレート♀(19歳):王国シルヴェスタ、王都エンジール、司祭。 黒騎士(??歳):漆黒の甲冑を纏っている謎の人物。 フォルテ♂(18歳):マイペースな掴み所のない少年。 オルフィス♂(25歳):“白馬の紋章”を背負いし者。 ネジェラ♂(27歳):紳士的だが皮肉屋でもある、まだ猫を被っている状態。 ヲールティ♀(17歳):クマの人形をいつも抱えている凄く大人しい子。口数は非常に少ない。 【HPはこちら】 キャラクター詳細や世界観は此方で確認お願いします。 【役表】 サイアス: ヤシュム: ユアン: シエル: アーシア: セグレート: 黒騎士: フォルテ: オルフィス: ネジェラ: ヲールティ: *0*−00−0*0−00−*0*−00−0*0−00−*0*−00−0*0−00−*0*− ≪法国ルミナシア某所≫ サイアス:「おいしょっと。(大きな木箱を積み重ねている) これで全部運べたかな。」 ヤシュム:『もうあっちには荷物無かったハズだよ。』 サイアス:「よし。 それじゃあ次は・・・」 ユアン:「サイアス!」(駆け寄ってくる) サイアス:「あ、ユアン。 そっちはもう終わったのか?」 ユアン:「うん。 サイアスの方はどう?」 サイアス:「頼まれてた仕事は終わったよ。」 ユアン:「なら、丁度よかった。 シエルさんから屯所の会議室に集まるように言われて呼びに来たんだ。」 サイアス:「会議室に? なんだろ。」 ヤシュム:『行けばわかるでショ。』 サイアス:「そうだな。 取り敢えず行ってみよう。」 ユアン:「僕も一緒に行くよ。」 サイアス:「うん、一緒に行こう。」 <法国ルミナシア屯所・会議室> アーシア:「みなさん、この度はお集まり頂きありがとうございます。 ユアンさん、セグレートさんは初めまして、ですね。 私はアーシア・ミュトス・レゲンダと申します。 アルシャディア救済に力添えして下さると伺い、心から感謝致します。」 (お姫様のお辞儀をすっとする) ユアン:「アーシア皇女、ご丁寧にありがとうございます。 僕でお役に立てる事があるなら是非、協力させてください。」 (紳士的なお辞儀をする) セグレート:「ふ、不束者ですがよ、よろしくお願いします!!」 アーシア:「そう言って頂けて安心しました。」(微笑) サイアス:「でも、なんで皇女様がこんな所に?」 セグレート:「こ、これから説明してくれるんじゃないでしょうか・・・!」 アーシア:「ふふ、お楽しみに。」(にっこり) シエル:「ん、それじゃあ始めるぞ。 今ここに居る全員にアルシャディア救済の先駆けとして “紡ぎし唄、及び選ばれし者”の捜索と調査の任務に加わって貰う。」 サイアス:「うぉお! やったぁ!」 セグレート:「わ、私達たちに、ですか?」 シエル:「そうだ。 俺とラキアを中心としたメンバーだ。 今は他用で不在だがイヴァン、デュランをメインに サイアス、ユアン、セグレート、そしてアーシア。 それぞれが手分けして任務に当たる。」 サイアス:「え!? 皇女様も!?」 アーシア:「はい、(満面の笑み) 私も任務に参加する事に決まりました。」 サイアス:「ぇええ!?」 セグレート:「ふえぇ!?」 ユアン:「!!」 ヤシュム:「『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』 第14話 旅立ちの物語」 ヤシュム:『よく皇女様を危険な旅に同行させる事を承知したよネ。』 シエル:「ご尤もな意見だが、これは“国の決定事項”だ。」 アーシア:「この件に関しては、私自身の希望でもあります。 アルシャディアの今の現状を自分の目で確かめたいのです。」 ヤシュム:『・・・それは良いとしても、その任務 サイアスだけだと力も経験も不足だらけで心配だらけだヨ。』 サイアス:「うぐぐっ・・・言い返せないのが悔しい。」 シエル:「まぁ、そこは心配するな。 流石に一人で行かせる強行はしない。」 ユアン:「パーティーを組むんですね。」 シエル:「ん。(軽く頷く)」 サイアス:「何かわくわくしてきた!」 ヤシュム:『遊びに行くんじゃないからネ?』 サイアス:「分かってるって!」 シエル:「まず、現状の説明をすると 帝国オルディンには聖魔導書ルアナ。 王国シルヴェスタには聖拳アヴァルク。 共和国ランガルトには聖双剣エリシオン。 この三本の神具が各国に保管されている。 何れも帝国以外の神具に関しては、ラキアとゲーエン殿を中心に 前回の円卓会議に出席した賢人達を介して上に取り次いで貰っていたんだが・・・」 アーシア:「確か、昨日連絡が頂いて居ましたよね。」 シエル:「あぁ、各国王のお墨付きで協力を得られる事になった。」 サイアス:「おぉ、凄い。」 シエル:「情報によると何処も “紡ぎし唄”と“選ばれし者”は揃っていない状況らしい。」 ユアン:「円卓会議が行われたのは最近の話ですから、 そう簡単には見つからないですよね。」 シエル:「まぁ、そういう事だ。」 アーシア:「そして、法国ルミナシアが保管していた聖槍イーリオスは 既に紡ぎし唄であるヤシュムさんと選ばれし者であるサイアスさんが 揃ってる状態です。」 ヤシュム:『ねぇ、エーゲリアの杖はどうしたのサ。』 サイアス:「杖?」 ヤシュム:『ボクはてっきりルミナシアが保管してるモノだと思ってたけド。』 ユアン:「確か、エーゲリアは法国ルミナシアを建国した方ですよね。」 セグレート:「そ、その筈だったと思います。」 アーシア:「それが・・・(言いずらそうに) エーゲリア様は国を去る時、 神具を所持したまま行方知れずに・・・。」 ユアン:「身内の方にも行く先は伝えなかったんですか?」 アーシア:「・・・はい。 ですから、所在を知っている方がいないんです。 今でもルミナシア家とは全く交流がなく、 その末裔の方々がどうしてるのかも分からなくて。」 ヤシュム:『なるほどねぇ。 人間嫌いの彼ならやりそウ。』 セグレート:「ひ、人が嫌いなのに・・・なんで国を作ったんですか?」 ヤシュム:『ボクは知らないけど。 大人の事情って奴じゃなイ?』 セグレート:「そ、そうなんですね。」 シエル:「それで、だ。 まず、これを見てくれ。」 (地図を受け渡しする) サイアス:「地図?」 シエル:「そこに印がしてあるだろ。」 ヤシュム:『・・・。』(じっと位置を確認している) ユアン:「各国に散らばってますね。」 サイアス:「うん。」 シエル:「それは、各国から集めた情報を基に、 神具と最も縁(えにし)が強いと思われる場所に印をしてある。 主に、英雄たちの出身地と思われる所だな。」 セグレート:「せ、先日の会議で帝国の方が言っていた “神具に縁(ゆかり)の在る者や場所を探れば 紡ぎし唄に辿り着く事が出来る”ですか?」 シエル:「あぁ。」 ユアン:「その目的地周辺で調査を行い 紡ぎし唄や、選ばれし者に繋がる情報を得られれば・・・。」 アーシア:「はい。 希望が見えてきましたね。」 サイアス:「なぁ、神具の近くにヤシュムみたいなのが必ずいるんじゃないのか?」 ヤシュム:『別に、ボクはずっとイーリオスの近くに居たわけじゃないヨ。』 サイアス:「そうなのか!?」 ユアン:「・・・そう言われてみれば確かに。 “紡ぎし唄の近くに神具がある事は断定”とコンラートさんが仰ってましたけど 矛盾が生まれてしまってるような・・・。」 シエル:「ラキアは“近く”とは言ったが“一緒”とは言ってないぞ。」 セグレート:「ど、どいう事ですか?」 ヤシュム:『一つじゃないって事サ。』 サイアス:「へ?」 ユアン:「一心同体でなく、相対する存在って感じかな。」 ヤシュム:『遠からず近からズ。』 サイアス:「む、難しい・・・。」 アーシア:「ですから、今の所そういった噂や伝承が強く根付いている地域に絞り込んで 探すしか方法がないんです。」 シエル:「なんせ、2000年前の形跡を辿るのは安易な事じゃないからな。」 セグレート:「た、確かに大変ですよね・・・。」 シエル:「それに、聖魔導書ルアナについては、帝国領土内にある。 彼らが厳戒態勢を解かない限り近づくことは出来ない。 現状、直ぐ動くには難しい状態だ。」 ユアン:「帝国と連絡が取れなくなってしまったのは地味に痛いですね。」 アーシア:「皆さんの安否も心配です。」 シエル:「まぁ、それに関しては、俺たちでどうこう出来る問題じゃない。 時期を見計らって動くしかないだろうな。」 アーシア:「・・・そうですね。」 ヤシュム:『それで、ボクたちはどうするればいいのサ。』 シエル:「まず、二手に分かれてエリシオンの 情報収集をしようと思っている。」 ユアン:「神具のあるランガルトと、英雄の出身地で分かれるんですね。」 シエル:「そういう事だ。」 ヤシュム:『もう一つハ?』 シエル:「アヴァルクに関しては既にシルヴェスタが動いてる手筈になっている。」 アーシア:「保有している国にお任せした方が安心できますし より確実に求めているものに近付けるのではないかと。 そういう判断の基、お願いする事にしました。」 セグレート:「で、です!」 ヤシュム:『分かっタ。』 サイアス:「あ、そっか。 セグはルミナシアとシルヴェスタの繋ぎ役なんだっけ。」 セグレート:「そ、そうですっ。」 シエル:「それじゃあ、パーティを分けるぞ。」 セグレート:「あ、あの!!」(突然席を立つ) アーシア:「っ!?」(吃驚している) サイアス:「わっ!? セグ!?」 シエル:「セグレート、どうした?」 セグレート:「わ、私。 ゆ、ユアンさんと行動したいです!」 ユアン:「僕と?」 シエル:「何か理由があるのか?」 セグレート:「あ、えっと。 あの・・・。 あっ、アタッカーとち、治癒術使える人がペアの方が安全なのでは! と、 お、思った次第、です・・・。 そ、それにアーシア様も治癒術が使えるので・・・。」 (最後もごもごする) ユアン:「一理ありますね。」 アーシア:「私はシエルさんの指示に従いますので、決めて頂ければ。」 シエル:「そうだな・・・。(暫く考えて) じゃあこうしよう。 エリシオンの出身地にはイヴァン先導でアーシアとサイアス。 ランガルトにはデュラン先導でユアンとセグレート。 俺はラキアとゲーエン殿と協力して他の神具の事を調べる。」 サイアス:「分かった!」 ユアン:「分かりました。」 セグレート:「あ、ありがとうございます!!」 サイアス:「あの、シエルさん。」 シエル:「なんだ?」 サイアス:「俺たちが向かう所は帝国方面だけど大丈夫なのかな。」 シエル:「砂漠都市アルヘオ地方は帝国の領土だが 海に面している部分にルミナシアが保有している ルベルの地というのがあってな。 今回はそこに向かって貰う。」 サイアス:「ルベルの地?」 シエル:「イヴァンの故郷だ。」 ユアン:「イヴァンさん、ゲドゥルト民族の方だったんですね。」 サイアス:「げどぅると・・・?」 シエル:「結界の外に居住区を置く事によって、 敢えて過酷な環境の中で生活を強いてる変わった奴らだ。」 セグレート:「け、結界の外に・・・!? あ、危なくないんですか!?」 シエル:「魔物の狩猟を生業にしている戦闘民族だからな、 そこは大丈夫だと思うが。」 サイアス:「おぉ、なんかかっこいい!」 セグレート:「え、えぇえ。」(動揺している) アーシア:「ルミナシアが保有している理由は、 昔から女神信仰が強く、シュティレーゼとは 友好関係だからなんですよ。 なので、優れた戦士の仲から選ばれた者は 聖騎士団に修行に来るという習わしがあったりします。」 ユアン:「それが今のイヴァンさんなんですね。」 アーシア:「はい。」 サイアス:「いいな! 俺も修行したい!」 ヤシュム:『何言ってるのサ。 これから任務デショ。』 サイアス:「そうだった・・・。」 シエル:「あぁ、サイアス。」(何かを思い出したように) サイアス:「ん?」 シエル:「お前にこれを返そうと思って。」 (聖槍イーリオスを渡す) サイアス:「俺の武器! 良かった。 これがないと何か落ち着かなくてさ。」 セグレート:「さ、サイアスさんにとって、とても大事なものなんですね。」 サイアス:「あぁ、兄貴から譲り受けたものだし、唯一の手がかりだからな!」 セグレート:「お、お兄さん、見つかると良いですね!」 サイアス:「あぁ!」 ヤシュム:『この二人、同じ空気を感じル。』 ユアン:「うん。 確かに、テンションが似てるね。」(微笑) アーシア:「そうですね、ふふ。」 シエル:「んで、だ。 話を戻すが・・・ 今回は陸路を使った方が距離的に最短で行けるだろ。 法国と王国の国境にある関所までは 馬車の手配をしてるから有意義に使ってくれ。 そこを抜けた後はイヴァンの指示に従って動くように。 恐らく、帝国の関所は閉鎖されているだろうから途中で海路になるだろうな。」 サイアス:「了解!」 シエル:「ん。アーシアを任せたぞ。」 サイアス:「あぁ、任せろ!」 ヤシュム:『その自信はどこから来るのサ。』 アーシア:「頼もしいと思いますよ?」 ヤシュム:『(ため息)』 アーシア:「ふふっ。」(ヤシュムを見てクスリと笑う) シエル:「ユアン。」 ユアン:「はい。」 シエル:「ランガルトへは、海上都市ウィリオス経由で海路を使えばすぐだろ?」 ユアン:「そうですね、ここに来た時と逆の順路で行けば 3、4日くらいでランガルトに着くと思います。」 シエル:「デュラン先導とはいったがお前の方が 詳しいだろうから諸々のフォロー頼んだぞ。」 ユアン:「分かりました、任せて下さい。」 セグレート:「わ、私も頑張ります!」 シエル:「ん。 あとは・・・、他にあれば今のうちに聞くが。」 アーシア:「(すっと一歩前に出て)では、私から一つだけ・・・。」 シエル:「ん。」 アーシア:「皆さん、これからは苦楽を共にする仲間ですから 堅苦しい事は抜きにしましょう。 これから、私の事は“アーシア”と呼んで下さい。」 シエル:「お前たちには、アーシアが皇女だと分からないように 振る舞って貰うからな。」 サイアス:「分かった!」 セグレート:「ど、努力します。」 ユアン:「分かりました。」 ヤシュム:『サイアスが一番心配だけどネ。』 サイアス:「だ、大丈夫だって!」 アーシア:「お願いしますよ?」(微笑) サイアス:「お、おう!」(ちょっと挙動不審) ユアン&セグレート:「(二人でやり取りを見て笑っている)」 シエル:「よし。それじゃあ、解散しよう。 準備だけは怠るなよ、長旅になるだからな。」 サイアス:「了解! うわぁ、楽しみだ! それじゃあみんな、また明日!」 (一人で部屋を出てってしまう) ヤシュム:『・・・ボクの事完全に忘れてるシ。』 シエル:「(小さい溜息)全く落ち着きのない奴だ。」(微笑) セグレート:「わ、私もラキアお姉さまに報告があるので行ってきます!」 ユアン:「うん、行ってらっしゃい。」 アーシア:「分かりました。」(にっこり) シエル:「ラキアによろしくな。」 セグレート:「はいっ! ではっ。」(一礼して走っていく) (サイアスが足早に部屋を出るのを見送るとユアンも動き出す) ユアン:「僕もこの辺で・・・。」 アーシア:「あの、ユアンさん。」 ユアン:「はい?」 アーシア:「私の勘違いかもしれませんが・・・。」 ユアン:「・・・? 何でしょう。」 アーシア:「昔、お会いした事ありませんか?」 ユアン:「えっと・・・。」 ヤシュム:『・・・・。』(やり取りを見守ってる) ユアン:「あ、あの。ごめんなさい。 多分、会った事は無いと・・・思います。」 アーシア:「そう、ですよね。 変な事聞いてしまってすいません。」 ユアン:「いいえ、気にしないで下さい。(苦笑) 僕、行きますね。」 シエル:「あぁ。」 アーシア:「はい、また明日。」 ユアン:「失礼します。(軽く会釈する)ヤシュム、サイアスを追いかけよう。」 ヤシュム:『分かっタ。』 (二人が立ち去るのを見て) シエル:「よかったのか?」 アーシア:「・・・恐らく私の記憶違いだと思います。」 シエル:「そうか・・・。」 (ヤシュムとユアン廊下を歩きながら) ヤシュム:『何で言わなかったのサ。』 ユアン:「・・・ん?」 ヤシュム:『昔の記憶コト。』 ユアン:「・・・知ってたの?」 サイアス:「あ、ユアン!」(近づいてくる) ヤシュム:『・・・ま、ボクには関係ないから良いけどネ。』 ユアン:「・・・。」 サイアス:「ん? どうしたんだ?」 ユアン:「何でもないよ。 追い付いてよかった。」 サイアス:「ヤシュム連れてきてくれたんだな。 ありがとう!」 ユアン「ううん、はい。(ヤシュムを渡す)」 ヤシュム:『ボクの事忘れてたでショ。』 サイアス:「わ、忘れてないって!」 ヤシュム:『本当かな、怪しイ。』(ジト目) サイアス:「っと(受け取る)でも、ヤシュム。 ユアンには懐いてるよなぁ。 抱きかかえられても嫌がらないし。」 ヤシュム:『フン。』(拗ねてる) サイアス:「うぅん・・・。」(納得できないような目で見てる) ヤシュム:『ム。』(渋い顔で見つめ返す) ユアン:「サイアス。」 サイアス:「ん?」 ユアン:「明日の準備があるから僕は先に部屋戻るね。」 サイアス:「あぁ、またな!」 ヤシュム:『じゃあネ。』 (ユアンを見送る) サイアス:「なぁ。ヤシュム。」(突然真面目な顔) ヤシュム:『何、急に真面目な顔しテ。』 サイアス:「イーリオスってどんな人だったんだ?」 ヤシュム:『・・・・。 ボクが答えるとでも思っタ?』 サイアス:「やっぱり駄目かぁ。」(落胆) ヤシュム:『まったく、兄弟揃って同じ質問しないで欲しいヨ。』 サイアス:「兄貴も同じ事聞いたのか。」 ヤシュム:『そうだヨ。 ほら、そんな事よりも。』 サイアス:「ん?」 ヤシュム:『明日の準備しないト。』 サイアス:「そうだった!!」 ヤシュム:『ハァ。(やれやれといった溜息)』 ≪とある屋敷内≫ 黒騎士:「揃ったな。」 オルフィス:「これで、声掛けたのは全員かい?」 黒騎士:「あぁ。ロジックは重要任務の遂行中。 モラドに関しては、前回のアレでヘソを曲げてしまってな。」 フォルテ:「モラドはお子ちゃまだね。」 オルフィス:「君も十分お子様だよ。」 フォルテ:「そう?」 オルフィス:「それで、今日は何の集まりなのかな。」 黒騎士:「新しい任務だ。 早速だがフォルテ、ネジェラは帝国へ行け。」 フォルテ:「それ、本気?」 ネジェラ:「相性悪過ぎますね。」 黒騎士:「性格的にか、能力的にか。」 ネジェラ:「両方ですよ。」 黒騎士:「それがどうした。 何か問題があるのか。」 (フォルテとネジェラは互いに顔を見合わせて) フォルテ:「・・・。」 ネジェラ:「・・・。」 フォルテ:「ボクの獲物だけは取らないでね。」 ネジェラ:「時と場合によりますね。確約は出来ません。」 フォルテ:「・・・本当、嫌い。」 ネジェラ:「私もですよ。」 オルフィス:「でも、いいのかい? 彼の管轄内で手を出したら怒るよ、きっと。」 フォルテ:「確かに、ロジックなら怒りそう。」 黒騎士:「構わない。 向かって貰う場所は帝都では無いからな。」 オルフィス:「なら、大丈夫そうだね。」 黒騎士:「(短い溜息)話を進めるぞ。 オルフィスとヲールティは共和国へ行け。」 ヲールティ:「分かった。」 オルフィス:「了解。 まさか、こんなに早く会えるとは思っていなかったよ。」 ヲールティ:「オルフィス、嬉しい?」 オルフィス:「勿論さ。(ニッコリ) まぁ、余り期待はしていないけど。」 黒騎士:「間違っても殺すなよ。」 オルフィス:「心得ているさ。」 フォルテ:「君は? どうするの。」 黒騎士:「私は聖都に向かう。 既にダーダンを待機させてある。」 ネジェラ:「用意周到ですね。」 オルフィス:「それだけ相手も甘くないって事かな?」 黒騎士:「お前たちには関係のない話だ。」 オルフィス:「つれないね。」 フォルテ:「ねぇ・・・今回の目的は?」 黒騎士:「ターゲットの追尋だ。」 フォルテ:「接触は無し?」 黒騎士:「お前は、私が“するな”と言った事を 守れた試しがあるのか?」 フォルテ:「ないね。」 黒騎士:「なら、余計な事は聞くな。」 ネジェラ:「では、“あり”と捉えて構わないですか。」 黒騎士:「どういう事だ。」 ネジェラ:「今回の任務は余興って事ですよ。」 黒騎士:「・・・。」 ネジェラ:「人は足掻こうと成長しますから。 少しでも痛い目を見せておけば次会う時の楽しみが増えるでしょ。」 黒騎士:「・・・好きにしろ。」 フォルテ:「これだから戦闘狂は。」 オルフィス:「意地が悪いね。」 ヲールティ:「ヘンタイ。」 ネジェラ:「君たちだけには言われたく無いです。」 黒騎士:「いいか。 一っでも欠ければ計画は失敗に終わる。 それだけは肝に銘じておけ。」 ヲールティ:「アナタが、そんな事心配するナンテ。 イガイ。」 ネジェラ:「珍しく弱腰ですね。」 黒騎士:「勘違いするな。 これはお前たちへの警告だ。」 フォルテ:「警告、ねぇ。」 黒騎士:「己に刻んだ“代償”を忘れるな。」 全員:「・・・。」(ピンと張りつめた空気になる) オルフィス:「・・・確かに、慎重と言い換えるべきだね。」 黒騎士:「ふんっ、無駄口を叩いている暇があるならさっさと散れ。」 オルフィス:「了解。 それじゃぁヲールティ行こうか。」 ヲールティ:「うん。」 (オルフィスとフォールティは去る) フォルテ:「ボクらは現地集合でいいよね。」 ネジェラ:「えぇ。」 フォルテ:「それじゃ。」 (フォルテも去る) 黒騎士:「ネジェラ。」 ネジェラ:「なんでしょう?」 黒騎士:「目的(ターゲット)以外の始末は好きにしろ。」 ネジェラ:「血が、騒ぎますね。 それを聞けて安心しました。」 黒騎士:「そうか。」 ネジェラ:「あなたはそういう事ないんですか?」 黒騎士:「さぁな。」 ネジェラ:「冷たいですね。 “裏切り者”同士仲良くしましょうよ。黒騎士(ブラックナイト)」 黒騎士:「お前と戯れるつもりはない。 私は己の正義を貫くだけだ。」 ネジェラ:「そうです、か。 残念です。」(やれやれと冗談交じり) 黒騎士:「・・・いつまでそうやってネコを被っている心算(つもり)だ。」 ネジェラ:「ふっ、よしてくださいよ。 これでも懸命に抑えているんですから。 それともご興味おありですか?」 黒騎士:「くだらない。 私は行くぞ。」 ネジェラ:「分かりました。」 (黒騎士はその場を去る) ネジェラ:「さて、私も行きますか。 どんな余興が待っているのか楽しみですね・・・ふふ。」 セグレート:「アルシャディア救済の為の旅が、 それぞれの冒険が今まさに始まろうとしていた。 向かう先には一体何が待ち受けているのだろうか。 期待と不安を抱き、前に進み続ける。」 フォルテ:「次回『Histoire of Eternto(イストワール オブ エテルノ)』 第15話 咎の刻印を刻まれし楽園」 セグレート:「うわぁあん、暫くヤシュムさんに会えないと思うと悲しくて悲しくて。」 ヤシュム:『ボクは清々するんだけど。』 セグレート:「そんな事言わないで下さいよぉ〜(泣)」 サイアス:「セグレートは本当にヤシュムが好きなんだな。」 ユアン:「確かに、暇さえあれば構ってる感じだよね。」 セグレート:「私のもふもふ成分がぁ、癒しがぁ・・・(悲)」 ユアン&サイアス&ヤシュム(M):「(そっち!?)」←心の声 もどる